ブログ
クラシカルなミルグレイン
結婚指輪やペアリングで指輪のサイドやセンターに丸い粒を並べたデザインを見たことがあるのではないでしょうか? この粒を並べて、指輪を彩る加工を『ミルグレイン』と言います。 連なった粒が途切れずに続くことから、古くから縁起の良いデザインとして指輪などのジュエリーだけでなく建築物や調度品などの装飾としても好まれてきました。
ミルグレインの「ミル」は「千の」を表すラテン語で「たくさんの」という意味でも使われます。 たくさん重なった生地をケーキのミルフィーユも同じラテン語のミルからきているそうです。 「グレイン」は穀物を測る単位からきていて、「1粒」といった意味を持っています。 この二つの単語から「たくさんの粒」を表すデザインを「ミルグレイン」と呼んでいます。 丸いつぶを打って加工することから略して「ミル打ち」と呼ばれたりもするんですよ。 ちなみについぶ京都工房にあるプレゼントやプロポーズ向けの『グレインダイヤコース』の名前は小さな1粒のダイヤが輝る指輪をイメージしてコース名を付けました。
日本では「魚々子[ななこ]」と言ってたくさん並んだ粒がいくらやすじこのように魚卵に見えたことからそう呼んでいたそうです。 正倉院からもこの魚々子模様が入っている装飾品があり、古くから伝統的な模様であったことがうかがえますね。 今でもお寺や神社の装飾にも多く見ることが出来るので、京都観光の際にはぜひ注目してみてください。
ミルグレインの指輪
ついぶ京都工房では皆様に手作りしていただいた指輪に追加オプションとしてミルグレインの加工を選択していただけ、手作りして完成した指輪をお預かりして工房の職人が加工いたします。 ミルグレインを入れた指輪は、粒の1つ1つから繊細に輝いて華やかに見えるだけでなく、指輪にラインが入ることで引き締まった印象に見えます。 ミルグレインを施す場所などはご希望をお伺いしてお入れいたしますが、定番で人気なのは指輪のフチに加工する「サイドミルグレイン」です。 両サイドに入れることで指輪が引き締まり、細身の指輪にも見えるようなデザインとなるので、華奢なリングが欲しいけど、細いと強度が気になる…という方にもおすすめです。
ご結婚指輪の定番素材であるプラチナの指輪にミルグレインを施すと、プラチナの落ち着いたグレイッシュなカラーと合わさりより洗練された繊細な雰囲気の指輪として楽しんでいただけます。 またマット仕上げとも相性が良く、モード系の印象にも仕上がるのでおしゃれな結婚指輪になります。
シンプルな甲丸や平打タイプの指輪に入れるとシンプルさの中に少しだけ華やかさが足された印象の指輪となります。 ミルグレインはアンティークジュエリーによく用いられているので、用いることでクラシカルなな雰囲気の指輪に見えますね。 なので、アンティークな雰囲気がお好きな方はイエローゴールドやホワイトゴールドなどのゴールドカラーの素材に入れると雰囲気をより楽しんでいただけるかと思います。 手彫り模様と組み合わせることが出来るので、写真のようなイエローゴールド×オリーブ模様×ミルグレインといった雰囲気で繊細さと華やかさを併せ持った指輪にしていただくことも可能です。
指輪の上下を違う素材で制作する「コンビリング」のセンターにミルグレインを入れると色みの違う金属同士の境界がはっきりとして、重ね付けをしているような印象の指輪になるのでおすすめです。 センターミルグレインは繋がったミルグレインの途中に石を留めてもバランスがいいんですよ。
自分でハンマーを使って、叩いて模様を入れる「鎚目[つちめ]タイプ」の指輪とミルグレインの加工を組み合わせると、不規則に入った槌目模様に直線的に並んだミルグレインの粒の規則正しさが加わり、エレガントなイメージのあるマニッシュな指輪になります。 他にはあまりないデザインなので、少し違ったデザインをお探しの方におすすめです。
--------
ミルグレインのデメリット
お洒落なミルグレインの加工ですが、よく聞かれるデメリットにお答えします。
ミルグレインだけでなく石留がされているデザインや指輪の印字の溝など、溝があると指輪に皮脂やクリームなどの汚れが付いたままになって黒ずんで見えたりしてしまいます。 しかし指輪自体が変色してしまっているわけではないので、お手入れをこまめにしてあげることで予防できます。 指輪を着ける頻度によりますが、毎日つける方は2ヶ月に1回から3ヶ月に1回程度、食器洗い洗剤などの中性洗剤やハンドソープ・ボディウォッシュなどを使って、使い古した歯ブラシで優しくこすり洗いしてあげると、汚れが落ちてきれいになります。 強く擦りすぎると傷ついてしまうので、優しく溝の汚れだけを擦るようにくるくる回すことと、頻度も毎日してしまわないなど細かく擦りすぎないことがポイントです。 宝石が留まっている場合は、エメラルドやブルームーンストーンといった柔らかい石は傷がつきやすいので、ブラシは当てないようにしてくださいね。
サイズ直しは指輪を一度カットして調整するため、連なった手彫り模様やミルグレインといった加工が入った指輪は辻褄が合わなくなってしまうことが多いためサイズ直しが難しい場合がございます。 基本的についぶ京都工房で制作いただいた指輪に関しては承っており、なるべく指輪に違和感が無いようにカットして作業させていただきますが、一度指輪を持ってご来店いただきご相談くださいませ。
小さな粒ですので控えめで華やかになりすぎないため、指に着けていたらそこまで目立つ加工ではございません。 男性でもミルグレインの加工をされる方がいらっしゃいますのでご安心ください。 ご結婚指輪などで女性とのペアで制作の場合、ご主人の方はマットに仕上げたりすることで、キラキラした光沢感を減らすことも可能です。
--------
伝統的な技法を指輪に
ミルグレンのこの粒は一粒一粒打ちこんで職人の手によって加工されています。 ミルグレインの魅力は小さな粒が均等に並んでキラキラと光っていることですが、 絶妙な力加減でミルグレインの粒の雰囲気が変わってしまうので、つやつやとしたぷっくり丸いつぶを規則正しく隙間なく同じ大きさで並べて作るのは難しく、まさに熟練の技が必要なんです。 日本の職人の技を感じる加工でもあるので、ぜひ指輪に取り入れてみてください。